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22話 笑顔の採集、裏での殲滅

Auteur: みみっく
last update Date de publication: 2025-08-09 07:00:35

 森に入って間もなく、アリアが目を輝かせて声を上げた。

「えっ!? わぁ〜すごーい! ここ、薬草いっぱいあるよ!」

 地面にしゃがみ込み、手際よく葉を選びながら、アリアは興奮気味に薬草を摘み取っていく。その目は真剣そのもので、まるで宝探しをしているかのようだった。

「ん? アリアちゃん、なにをよろこんでるのー?」

 ミーシャは、アリアの反応に首をかしげた。大きな青い瞳がぱちぱちと瞬き、表情には純粋な疑問が浮かんでいる。

「これね、ポーションの材料になる薬草なんだよ。ちゃんとしたのを見つけるのって、けっこう大変なの。でも、ここはすごく質がいいのがたくさん生えてるの!」

 アリアは、ミーシャに葉の形や色を見せながら、嬉しそうに説明した。

「へぇ〜……すごいねぇ。アリアちゃん、くわしいんだね!」

「えへへ、ありがと♪ ミーシャちゃんも、これ見て。葉っぱの先がちょっと丸くなってるのが、いい薬草のしるしなんだよ」

「ほんとだ〜! これ、そう?」

「うん、それそれ! 上手だよ、ミーシャちゃん!」

 ふたりはすっかり打ち解けた様子で、楽しそうに薬草を探し始めた。その様子を、ユウヤは少し離れた場所から見守っていた。

(……なんか、いい感じだな)

 森の中に響く笑い声が、静かな木々の間を心地よく揺らしていた。

♢チート級の討伐と隠しきれない能力

 アリアが薬草を見つけて嬉しそうにしていると、ミーシャが不思議そうな顔で首を傾げ、大きな瞳でじっとアリアを見つめてきた。

「えっとね、この葉っぱをね、わたしが集めてるんだー」

 アリアがにこやかに説明すると、ミーシャの目がぱっと輝いた。新しいことを知る喜びに満ちた表情で、尻尾がふわふわと揺れている。

「そうなんだー! わたしも手伝うー!」

 ミーシャは嬉しそうに声を上げ、アリアの隣にしゃがみ込んだ。その様子はまるで、姉の真似をする妹のようだった。

「アリアが喜ぶからって、一人で森に入って薬草を採るなよ?」

 ユウヤが少しだけ鋭い声で釘を刺すと、ミーシャは「うぅ……」と頬を膨らませ、ちょっと焦ったような顔をした。

(やっぱり……一人で入ろうとしてたんだな。まったく、もぉ……でも、アリアを喜ばせたかったんだよな)

 ユウヤは、ミーシャの気持ちを理解しつつも、危険な行動を見逃すわけにはいかないと、心の中で小さくため息をついた。

「……でも、ありがとな。気持ちは嬉しいよ」

 そう付け加えると、ミーシャは少し照れたように笑い、アリアの方を見てまた薬草を探し始めた。

「じゃあ……魔獣の討伐は俺がやってくるから、アリアとミーシャは薬草の採集を頼むな」

 ユウヤが提案すると、アリアは少し眉を下げて、申し訳なさそうに言った。

「えぇー……ユウくんに悪いよ。ひとりで危なくない?」

「えっと……じゃあ、ミーシャの面倒を頼んだ!」

 ユウヤがそう言うと、アリアはすぐに合点がいったように表情を明るくし、元気よく頷いた。

「あ、そっか……魔獣の討伐の方には、ミーシャちゃんが一緒だと危ないのかぁ。うん、任せて♪」

「そこの薬草の群生地から出るときは、ちゃんと声かけてなー」

「分かったよー!」

 ユウヤは、ふたりが薬草を採集している群生地の周囲に、簡易結界を張った。視界を遮らず、外からの侵入を防ぐ防御結界。ふたりの姿が常に見える位置に立ち、ユウヤは剣を抜いた。

(さて……こっちはこっちで、気を引き締めないとな)

 森の奥から、音と匂いに引き寄せられるように、魔獣たちが次々と姿を現し始めた。唸り声を上げ、牙を剥き、獰猛な気配を漂わせている。

 その中には、ユウヤでも名を知っているような、危険度の高い上級魔獣の姿も数体混じっていた。黒い体毛に覆われた四足獣、鋭い角を持つ獣人型の魔獣、そして空を滑るように飛ぶ蛇のような影――。

(……さすが、獣人たちが討伐を依頼してくるだけのことはあるな)

 ユウヤは静かに息を整え、剣を構えた。背後には、守るべきふたりがいる。だからこそ、ここで一歩も引くわけにはいかなかった。

(まともに戦ってたら、この辺りが踏み荒らされて、薬草の採集どころじゃなくなるな……)

 ユウヤは、魔獣たちの数と動きに目を走らせながら、冷静に状況を分析した。薬草の群生地を守るためには、長期戦は避けたい。だからこそ――。

(ズルだけど……今回は、必殺技を使わせてもらう)

 ユウヤは静かに詠唱を始めた。魔力が空気を震わせ、周囲の魔獣たちが一瞬、警戒するように身を低くする。

「《魔核強制抽出》」

 その言葉とともに、ユウヤの手から放たれた魔力が、魔獣たちの体内にある魔石――魔核を直接引き抜いた。魔核を失った魔獣たちは、苦しむ間もなく崩れ落ちる。

 倒れた魔獣の死体から素材を素早く回収し、残骸は転移魔法で地中深くへと送り込む。痕跡を残さず、証拠も残さず、まるで何もなかったかのように。

(……よし、気づかれてないな)

 ちらりとアリアたちの方を確認すると、ふたりは薬草採集に夢中で、こちらの様子には気づいていないようだった。ユウヤは小さく息を吐き、次の行動に移る。

(さて……次は中級クラスとやってみるか)

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